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オータニさ~ん 復帰! / スポーツ実況語録

2019年5月8日(日本時間)、待ちに待った「オータニさ~ん」こと、大谷翔平選手が復帰しました。
もちろん、皆さんご存じの、米国の野球「メジャーリーグ」、ロサンゼルス・エンゼルスの野球選手ですね。

大谷選手とともに、「二刀流(ニトーリュー)」という言葉も、日本から海を渡りました。
「Dual wield」ではなく、漢字と日本語発音の「二刀流」です。

イチローさんには、「ウィザード(魔法使い)」とか「エリア51」などの言葉が使われていましたね。他にも「レーザービーム」とか…。
米国でよく聞かれた「イチ」という呼び方も好きでした。
日本で「イチさん」と聞くと、すぐに「座頭市」の「イチさん」を思い出します。
スゴ技の達人のイメージは、イチローさんに通じますね。

野茂英雄さんには「トルネード」。佐々木主浩さんには「大魔神」。松井秀喜さんには「ゴジラ」。
スーパースターになる選手には、特定の呼び名がつきものですね。
誰が付けたか知りませんが、それにしても、大谷翔平選手には「ショータイム」という言葉がよく似合います。

イチローさんの、あのバットを縦に持って投手に向けたポーズ、野茂英雄のあの腰をひねったあのピッチングフォームなど、スーパースターになる選手には、その選手にしかないカッコいいシルエットがありますが、今年も、大谷翔平選手のあのバッティングフォームが見られました。
両肘を高く上げた、いかにも打ちそうな、かかってこいと言わんばかりの相手に向かうあのすご味…今年も活躍してほしいです。

* * *

150年以上はあろうかというメジャーリーグの歴史の中でも、「二刀流」はたいへんめずらしく、大谷選手は、あのベーブ・ルース以来100年ぶりという言葉をよく耳にします。

100年ぶりとなると、今、ベースボールを見る人のほとんどが「二刀流初体験」となりますね。
日本でも、「二刀流」なんて聞くと、戦国時代から江戸時代に生きた剣豪、宮本武蔵が、二本の刀を両手に持った立ち姿の、有名な絵を思い出してしまいます。

大谷選手は、193cmの長身で、それでいてスマート、足も長い、頭が小さくて、まるでモデル体型です。
ルックスも品よく、普段はベンチで、くったくのない素直な笑顔、でもひと度、マウンドやバッターボックスに立った時のあの鬼の形相…これは女性ファンだけでなく、男性もしびれますね。

あの表情豊かな姿は、米国のスポーツの対戦現場では、ちょっと心配な点もありますが、テレビで見ている人たちは大満足です。
意外と、対戦相手の選手も、カッコいいなーと感じながら見ているのかもしれませんね。

NHK BS1のテレビ中継では、40歳代から高齢の女性まで、家庭の主婦の視聴者が激増しているという話しを聞きます。彼は、いろいろな社会現象を巻き起こしてくれますね。

さて、この「二刀流」…。
もちろん高校野球までのレベルであれば、「投げる」と「打つ」の両方に活躍する選手はたくさんいますが、プロとなると、ほぼ不可能だと信じられていました。
しかし、大谷選手の登場は、その「不可能」の概念を、「可能」に変えるかもしれません。
二刀流って、プロでもやっていけるのかも…。

まさに人類のスポーツの「新しい挑戦」とも言えます。
大谷選手の登場は、日米間の選手契約システムだけでなく、米国でも新ルールを誕生させました。大谷選手以外にも、二刀流選手が登場しましたし、これからも誕生してきそうです。

ですが、今、二刀流選手の、その価値や評価基準が定まっておらず、私たちファンも、どのように判断していいのかさえもわかりません。
これまでの、ホームラン王のホームラン数、打者の最高打率、投手の最多勝の数などが、通用しない価値観です。
いずれにしても、記録や成績、勝敗という価値評価ではない、なにかすごい、新しい価値観を目の前にしているというのは間違いなさそうです。

新しい価値を認め、その価値基準を探し、それを楽しむルールづくりをしようとする早さは、さすがスポーツ先進国の米国ですね。
「投打どちらかに選んだほうが…」という声もありますが、スポーツの進化発展、人類の可能性への挑戦のほうが優先のように感じます。
ほんのごく一部の才能ある最高のスポーツ選手だけに与えられた「挑戦権」ですね。

イチローさんには、偉大な成績や記録はもちろんですが、それ以外にも、忘れていた「価値観」をたくさん思い出させてもらいました。
イチローさんは、引退会見の際に、いみじくも、野球の価値観について触れていましたね。
近年の、米国のベースボールや、日本の野球の試合を見ていると、その戦い方の価値観には、時代の潮流や変化があるのだなと強く感じます。
いずれにしても、スポーツには、成績や記録、勝敗ではない価値観もあるのは確かです。
大谷選手には、また別の「新しい価値観」を、ぜひ私たちに見せてほしいものです。

* * *

さて、ここは、映像関連のコラムですので、ちょっとだけテレビ番組のことを…。
私も大好きな番組ですが、日本の野球のシーズンオフの時期に、NHK BS1で放送している「球辞苑~プロ野球が100倍楽しくなるキーワードたち」です。

この番組は、高校野球の球児たちはもちろん、大人から子供まで、野球ファンがバイブルのように見ている番組です。
プロ野球選手や指導者たちも見ているようです。
ひと昔前には、こんなマニアックな野球番組はありませんでしたね。
野球の技術論から考え方までを、しっかりした実績を残した過去の一流選手たちが、秘密にしていたような部分を含めて、披露・解説してくれています。

プロ選手がアマチュア選手になかなか指導できない日本の野球界では、技術伝承のひとつの生命線ともいえる番組ですね。
精神論や根性論だけではない、しっかりとしたスポーツの理論と教養がここにはあります。
視聴者の知識欲もしっかり満たしてくれる番組です。

野球以外のスポーツ選手に参考になることもたくさんあると思います。
NHKの番組「球辞苑」には、日本における「テレビでスポーツを学ぶ・楽しむ」ことの新しい可能性を感じます。

今の時代、スポーツ選手の中には、昔の選手とは異なる、メンタルに強い新しいタイプの選手たちが増えてきたようにも感じます。
一方、スポーツ選手がかかる「イップス」と呼ばれる精神的な病も取りざたされるようになっています。
そのうち、テレビでも、スポーツ心理学を中心にした番組が生まれてくるかもしれませんね。
そうなれば、かつての精神論や根性論も、日本流のきちんとした学問として確立されるかもしれませんね。
スポーツは「心技体」とよく言われますし…。
きっと、それは、私たち一般人の社会でも、十分に通用する理論になると思います。

メジャーリーガーには、結構、高学歴の選手が多くいます。肩書きだけではなく、ほんとに学問とスポーツを両立させてきた選手たちです。
たとえば、クリーブランド・インディアンズのトレバー・バウアー投手は、専門の物理学の知識と、映像解析技術を駆使して、自身のピッチングに活用していることはよく知られています。もちろんサポートするスタッフもいます。私も、彼の登板する試合は楽しみにしています。
彼の取り組みは、まるで、限られたオリンピック強化選手が使う、科学に裏付けられた「JOC味の素ナショナル・トレーニングセンター」の個人版のようです。
今や、スポーツ選手の技術の向上に、科学は切っても切り離せなくなりましたね。

でも、技術理論や科学だけでは、一流選手は生まれてきません。
イチローさんのように、精神論や哲学、学びや努力、心理、コミュニケーション、維持と進化の方法論なども、必要不可欠な要素かもしれませんね。

メジャーリーグには、世界各国から優秀な選手がたくさん集まってきており、非常にいろいろなタイプの選手がいます。
二刀流でなくても、投打それぞれの分野に、大谷選手級か、それ以上の選手はたくさんいます。
毎年のように、大谷選手級の新人が登場してきます。
大谷選手には、自分の生きる道をしっかり探り当ててほしいですね。

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さて、スポーツのテレビ中継番組について、少しだけ書きます。
かつてスポーツ中継番組は、競技場で実際に観戦するかわりくらいの番組内容の時代から、テレビ番組としての面白さを加えたりしながら、少しずつ変化してきましたね。でも、まだまだ発展途上です。
来年の東京オリンピックのテレビ中継では、今まで見たことのない新技術が随所で活かされることと思います。

空中に限らず、ドローン映像のようなものも、たくさん登場することでしょう。
AIだって、ふんだんに使用されてくるでしょう。
これまで、競技場での観戦とテレビ観戦は、比較的近い内容のものだったかもしれませんが、もっと違いが明確になっていくのかもしれませんね。
テレビでは、実況と分析の同時進行がより進化するかもしれません。さらに何かを加えてくるかもしれません。
これもスポーツのテレビ観戦の「新しい価値観」への流れなのかもしれませんね。
そろそろ、裏話、感動の家族秘話、精神論、根性論は、無用の長物と化し、情報・分析・解説・映像に比重がより置かれるようになるかもしれませんね。

「新しい価値観」への流れ…。
平成から令和の時代に、二刀流の大谷選手が登場してきたことと、それが、底辺で何かつながっている?と考えるのは、少し考えすぎでしょうか。
個人的に願うのは、スポーツ中継番組が、時代に逆行した方向や、視聴者の志向に逆行した方向に向ってほしくないということです。

* * *

各局のスポーツ・アナウンサーたちは、来年の東京オリンピックに向けて、そろそろ、ネタや、新しい表現方法、新語などを準備し始めていることでしょうね。
かつて、スポーツのテレビ中継には、有名なフレーズがたくさんありました。
アントニオ猪木の「燃える闘魂」や、F1のアイルトン・セナの「音速の貴公子」、王貞治の「一本足打法」など、卓越した言葉表現がたくさんありましたね。

テレビで大活躍中の古舘伊知郎(ふるたち いちろう)さんも、スポーツ実況アナウンサー時代には、名フレーズを山のように生み出しました。
私も、そのスポーツ見たさより、彼の実況を聞きたくて、番組をよく見たものです。
彼の語録の中から、私が特に好きだったものを、ちょっとだけご紹介します。

「人間山脈」、「男セーラームーン」、「F1駅前留学」、「F1界の峰竜太・竜雷太」、「勝ちゃいいんだろ走法」、「きざみ納豆走法」…。
その選手の個性はもちろん、その時代や社会をも感じさせる秀逸な言葉表現には脱帽です。

中でも、個人的に、私が特にお気に入りだったのが、「走る英国屋」です。
これは、イギリス出身のF1ドライバー、デレック・ワーウィック選手を表現したものです。
まさに絵に描いたような冷静沈着でオシャレな英国紳士の雰囲気を上手く表現しています。
母国名も入っていますし、紳士なのに「走る」のです。

「英国屋」というのは、日本全国で店舗展開している、落ち着いた店構えの、歴史のあるオーダーメイドの有名な紳士服屋さんの「銀座 英國屋」をさしています。
「F1」と「英國屋」のギャップにも面白さを感じます。
よくぞ、選手の個性、スピード感、紳士、イギリスを結び付けたものだと、笑うのと同時に、非常に感心したことを覚えています。

来年の東京オリンピックでは、実況アナウンサーの方々に、ひねりと知性を感じる、そして感心させてくれるような言葉表現を期待しています。
感心し過ぎると、自然と笑みも出てきますね。
「オータニさ~ん」のような音声感覚ものも出てきてほしいですね。

2004年のアテネ・オリンピックで金メダルに輝いた男子団体体操演技の、冨田選手の鉄棒の最後の着地シーンにぴったり合わせたあの実況…おぼえておられますか。

NHKの刈屋アナウンサーは、相当考えて、入念に準備を重ねたことでしょう。
着地映像と、ぴったりはまったその言葉の瞬間に、金メダルが決まるなんて、まさに「奇跡」です。

今でも、その着地と言葉のシーンを映像で見ると、その瞬間、歌手のゆずの楽曲「栄光の架け橋」が頭の中に流れてきて、感動してしまいます。

「新月面が描く放物線は、栄光への架け橋だ」。

♪いくつも~の~

来年、架け橋が東京の空にかかりますね。

そういえば、本日5月9日から、来年の東京オリンピックのチケットのネット抽選申し込みが始まりましたよ。
さあ、今から「ネット抽選申し込み」っと…。


 2019.5.9 jiho
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