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キリンがくるッ!

【概要】NHK大河ドラマ「麒麟がくる」。本能寺の変。裏切りまくり。裏切りの犠牲者。明智光秀・織田信長・斎藤道三・松永久秀・帰蝶(濃姫)。長谷川博己さん・吉田鋼太郎さん。おっさんずラブ。安藤百福。


◇麒麟がくる

注目のNHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」の放送が始まりましたね。
周囲が、「書くんでしょ…」というので、第一回放送内容を見て感じたことを、ちょっとだけ書きます。

もう何十年も大河ドラマを見てくると、初回放送はこんなものかなというように、想像できるようになってしまいます。
どの大河もそうですが、長い一年間の物語の初回は、導入部であり、たくさんの人物の登場があり、伏線を張りめぐらせるという内容になってしまい、ドラマに夢中とは なりにくいかなと感じる回ですね。
大河ドラマの初回がこうしたものになるのは仕方がないと思っています。

ですから、視聴者としては、いつも第三回くらいから、本格的にエンジンがかかり始めるような気がします。
ドラマの連続性の面白さが始まるのも、このくらいからですね。
大方の視聴者は、最初の3~4回分くらいを見て、一年間見続けるかどうかを判断するという人も少なくないと思います。
私もそうです。

* * *

「明智光秀」役の俳優、長谷川博己(はせがわ ひろき)さんは、私の目には まだまだ、どうして「カップヌードル」じゃなくて「刀」を手に持っているの…と感じてしまいます。

とはいえ、それだけNHKの朝ドラ「まんぷく」での、「立花萬平」役〔日清食品の安藤百福(あんどう ももふく)がモデル〕)が板についていたということですね。
大河ドラマの初回はまだ見慣れていないので、私には、まだまだ「まんぺいさん」に見えてしまいます。
相当の賛辞のつもりです。


◇裏切りまくり

それにしても、明智光秀という人物は、その生涯を通して、「裏切り」という言葉が、身体の周りにまとわりついているように見えてきます。

もともと明智家は、清和源氏(摂津源氏)の流れの土岐(とき)氏の支流の家です。
この土岐氏の源氏の流れは、日本史の中で、時々、とんでもない有名人が突然あらわれてきます。

もともとは僧で、商人になり(?)、そこから数々の裏切りで戦国武将にまで成り上がった斎藤道三(さいとう どうさん)は、主君の土岐氏を見事に裏切りました。
光秀の最初(二番目?)の主君の斎藤家は、道三と義龍(よしたつ)親子の裏切りあいにより、最後に道三が敗れます。
光秀は道三の家臣でしたので、奥さんの熙子(ひろこ)と越前に逃げ、朝倉義景(あさくら よしかげ)の家臣になります。

斎藤義龍の子の龍興(たつおき)は、道三の娘の「帰蝶(きちょう)〔濃姫〕」の夫である織田信長に攻撃され、信長に対抗するため、浅井長政(あさい ながまさ)と同盟を結ぼうとしますが、長政は龍興を裏切り、信長と組みます。
信長の妹「お市(いち)」が長政と政略結婚します。

その後、もともと斎藤家の家臣であった竹中半兵衛や西美濃三人衆は、斎藤龍興を裏切って、織田方につき、龍興は逃亡。
このあたりで、後の豊臣秀吉になる木下藤吉郎が頭角をあらわしてきますね。
龍興は、朝倉義景に保護されます。

信長は朝倉義景と対立しはじめます。
なんと浅井長政は、信長を裏切って、朝倉と組み、織田と戦います。
朝倉は、浅井にとって大恩のある家なのです。
信長の妹で、浅井長政の妻の「お市」は、夫を裏切って、信長に内通…?
朝倉、浅井、斎藤龍興は、織田軍に敗れます。
浅井長政の妻の「お市」(信長の妹)は、三人の娘(茶々、初、江)とともに信長の元に戻ってきます。

朝倉義景の主君は、室町幕府の足利将軍家です。
その頃の足利将軍は、戦国武将の三好氏や、三好の家臣の松永久秀(まつなが ひさひで)らに、圧力を受け、何度も地方に逃亡します。
そして足利義昭は朝倉義景を頼って越前に行き、上洛の機会を待ちます。
ですが義景は動きません。
そこで、義景の家臣の明智光秀は、義景を裏切って、足利義昭に、「朝倉を裏切って、信長についたほういいですよ」と進言するのです。
そのとおりとなります。
このあたりで、足利将軍家と織田家の仲介を果たす役割として、明智光秀が頭角をあらわしてきます。
そして織田家臣団に加わるのです。

もともと、光秀は、斎藤道三や、その娘で信長の妻の「帰蝶(濃姫)」とは血縁関係にあったようです。
明智光秀が織田家家臣になるのは、自然な流れのようにも思いますね。

このくらいの内容まででしたら、大河ドラマのおそらく前半くらいだと思います。
光秀の生涯のお話しは、このあたりまでにしておきます。
あとはお楽しみ…。

(後日 追)
相当に、ザクっとした内容で書きました。
「麒麟」シリーズを書くことにしましたので、そちらで、もう少しきちんと書きます。

* * *

それにしても、この時代、「裏切り」はまさに、「朝のあいさつ」のように当たり前に起きていましたね。
何度「裏切り」という言葉が出てきたでしょうか。

この後、織田家臣団の中からは、松永久秀、荒木村重、別所長治などが、次々に「裏切り」を起こしましたが、すべて敗れていきます。

信長は、家臣を裏切っても、すぐにはあきらめず、もう一度戻るように説得をする武将です。
ですが、信長の家臣の佐久間信盛、林秀貞は、数十年前の織田家内部抗争の際に信長の弟に味方した者たちであったため、こんな何十年も経っているのに、思い出したように追放されました。同じく味方した柴田勝家は、この時点ではおとがめ無しでしたが、いずれは追放したでしょう。
信長には、そんな面もあるのです。
用済みや、働きの悪い家臣は、容赦なく切り捨てるのです。

一度火が付いた家臣たちの「信長への恐怖」を消すことはできなかったのかもしれませんね。
結局、みな信長に敗れ、みじめな最期をむかえました。
ふたりの人物を除いて…。
そのふたり、信長を何度も怒らせていたのに…。

そのひとり、秀吉の要領の良さは、まさに名人芸、神業ですね。
光秀は、本能寺で、「信長からの恐怖」から脱却しますね。

* * *

ここでは、織田家の「裏切り」連発の内部抗争のことは書きませんが、壮絶な家族間・親戚間の殺し合いです。

ここまでは、愛知や岐阜、京都、奈良、滋賀あたりの裏切りの話しでしたが、関東や中部では、上杉、武田、北条、今川、徳川が、壮絶な裏切り合いをしています。
中国地方は、毛利、宇喜多、尼子などの壮絶な裏切り合いです。
九州でも、島津や大友を中心に壮絶な裏切り合いです。
もちろん東北も四国も、日本中が裏切り合いの「下克上(げこくじょう)」の時代でした。


◇本能寺の変

そんな、たくさんの戦国時代の「裏切り」の中でも、「本能寺の変」は特別中の特別…、王様ですね。

戦国時代以前の「源平合戦」や「応仁の乱」の頃であれば、めずらしくはありませんが、戦国時代に、光秀クラスの国持ち大名が、これほどのかたちの裏切りを行うのはめずらしいかもしれません。

ここまで書いてきました、戦国時代の主従の裏切りは、反逆者が主君に「裏切り宣告」をするか、そうした行動があってから、その後、戦で対決したり、城を攻撃するというものが多かったように感じます。
「本能寺の変」のように、国持ち大名クラスが、そぶりも見せず、何も言わずに、理由もはっきり示さず、それも無防備の主君を、寝込みに、大軍勢で一気に、親子まとめて葬り去るというのは、まずなかったと思います。
まるで、敵対勢力どうしが行う攻撃そのものです。

たしかに、宣告が早すぎたり、そうした素振りを見せていたら、明智軍の中から裏切りが起きたでしょう。
「本能寺の変」は、日本史の中の多くの「裏切り」の中でも、三本指に入りそうな、主従での陰湿な裏切りにも感じます。

この襲撃は、ある意味、信長の「比叡山焼き討ち」の残酷さにも似ている気さえします。
かつての主君でも、まったく情け容赦ないというものですね。

比叡山焼き討ちでは、信長から命令を受けても、秀吉は、女、子供、老人を次々に逃がしてやります。
信長も、秀吉をとがめません。
光秀だけは、命令どおりに、容赦なく殺戮しましたね。

* * *

とはいえ、織田家臣団の中で、岐阜や愛知、滋賀での、数々の裏切りを、もっとも近い場所で見てきたのは、おそらく光秀であっただろうと想像します。
秀吉は、そういう場面からは、上手に離れていきます。

もし、織田家臣団の中で、信長を葬り去るほどの「大裏切り」をできる人物はだれかと考えたら、一番可能性のあるのは、数々の「裏切り」を知り尽くした、光秀ではなかろうかと思ってしまいます。

彼は、まさにそのために戦国武将になることを運命づけられていたのかもしれません。
ひょっとしたら、歴史の神様が選んで指名した「裏切り者」だったのかもしれません。

光秀は、自らの手で歴史をつくった数少ない戦国武将のひとりとなりました。
江戸幕府の多くの将軍たちでさえ、自らの手で歴史をつくった将軍など限られますよね。
光秀の12日間の天下は、味わっている暇もなかったことでしょう。

* * *

今回の大河ドラマ「麒麟がくる」では、そうした多くの裏切りの場面が描かれるのだろうと想像します。
ただ、こうした裏切りは、内容や心情がすべて異なります。

これでもかというほどの数の「裏切り」の後、最後の「大裏切り」がやってきますね。
大河ドラマでは、光秀が、どんなふうに、数々の他人の「裏切り」を見ていくことになるのでしょう…。

最後は、光秀自身が主君の信長に、「大裏切り」を行います。
そして、「本能寺の変」後に、光秀は何かに裏切られるのです。


◇裏切りの犠牲者

初回放送を見ていましたら、その中で、光秀が、峠だったか、田んぼの畔だったかで、手を縛られた女、子供の集団とすれ違いました。
ひょっとしたら、今回の大河では、お殿様の「裏切り」行為から生まれた多くの犠牲者のことも描かれるのかなと感じました。

歴史的には、お殿様の裏切りで、どれだけ多くの人が、とばっちりで犠牲になったことでしょう。
お殿様本人や一部の家臣は本望かもしれませんが、周囲は大迷惑だったりします。

* * *

個人的には、光秀よりも、光秀の娘の珠(玉・たま / 細川ガラシャ)のほうを主人公にした「おんな本能寺の変」を見てみたいと、ずっと思っています。
信長の最期と、ガラシャの最期は、表面的にはそっくりです。

また、「本能寺の変」で信長とともに亡くなった、信長の長男の信忠も主人公にふさわしいと感じています。
「長兄苦労物語」とか「武田の娘との悲恋物語」とか…、「本能寺の変」は、武田信玄の娘である松姫が、信忠のもとに向かっている最中に起きた事件です。
せめて一緒に死なせてあげられていたらとも、思ってしまいます。

ガラシャも信忠も松姫も、「裏切り」の犠牲者ですね。
光秀ほどの優秀な頭脳であれば、本能寺の後の自分の最期や、一族の結末を想像していないはずはないと思うのですが…。

本能寺の変には、おそらく、隠された陰謀があるにちがいありませんが、はたして、光秀は何につき動かされたのでしょうか?
初回を見て、「麒麟(きりん)」が光秀を意味するものではないような描き方に感じました。
光秀のもとに「麒麟がくる」のか、それとも…。
戦乱の世、劇中に登場した「大きな手」は、最後にもう一度やってくるのでしょうか…。


◇おっさん と ふくちゃん

さて、初回を見て、非常にワクワクしたことをひとつ書きます。
俳優の吉田鋼太郎さんが演じる「松永久秀(まつながひさひで)」です。

久秀は、大河に限らず、時代劇では、ほとんど注目されず、登場シーンもほとんどない戦国武将ですが、歴史ファンや戦国ファンには、猛烈にそそられる人気者です。
久秀の死も、「裏切り」の後の壮絶な最期です。
初回から、久秀が、こんなに派手に登場するとは、これからが期待できます。
鋼太郎さんのドラマ「おっさんずラブ」を思い出した方も多かったと思います。

鋼太郎さん演じる久秀が、化粧して高笑いしながら、割れた「オカマ(お釜)」を抱いて、大爆発!
だから、彼が演じるのか…?
個人的には、鋼太郎さんが演じてきた武将の中では、久秀が一番イメージにピッタリくるような気がしています。
時代劇では、たいてい描かれない久秀の最期は、非常に楽しみですね。
「壁ドン」はあるでしょうか…。
おっさん頑張れ!

* * *

先ほど、光秀の娘の珠(玉・たま / ガラシャ)のことを書きましたが、いつかは「麒麟がくる」の中にも登場してくるのだろうと思います。
「珠」役で、あの人の登場はあるのでしょうか…、「ふくちゃん」こと、安藤サクラさん。
光秀に「おとうさん」とか言って、登場してくれたら最高なのですが…。
もうお腹、満腹になりそうです…。


◇べつに…

私の目に、安藤百福が、明智光秀に変わるとき…、大きな「裏切り」を感じさせてくれるのかもしれません。

だんだん、最終回まで続けて見ないといけないような気になってきました…。

初回の放送を見て、ひと言と聞かれたら…。
「べつに…」
今回、この三文字を書きたくて仕方なかったわけです。

* * *

私は、ウイスキー派ですが、ついつい、あのビールを買ってきて、初回放送を見てしまいました。
ラベルを見ながら…。
朝日姫(あさひひめ)や、鳥居元忠(とりい もとただ)は、残念ながら、ちょっとだけ時代が ズレちゃってますね。

日曜日、「べつに」見るものがないので、一年間、「裏切り三昧」を楽しんでみますか。

* * *

(追伸)
映像に関する例の件ですが、個人的には、番組の話題性作りは大いに結構かと思いますが、極端な手法は、少しどうかなとも思ってしまいます。
カラフルはいいですが、洗濯したてのような着物もどうかな…?。黒澤明 監督なら、全員に泥水でもかけてから撮影したかもね…。
ドラマの内容やキャスティングのほうで話題性をつくってほしいです。

それから、本コラムの「歴史人物・基礎データ」にも、できるだけ早く「明智光秀」の項目を書き込んでおきます。
戦国時代は、日本史全体からみたら、そう遠くない時代なのですが、とにかく光秀に関する事柄は、不明な点が異常に多いです。
「本能寺の変」が、いかに明智一族にマイナスの影響を与えたかがわかりますね。
光秀に関係する一族は、徹底的に、光秀とのつながりや関わりを消し去ったり、隠したりしたということです。両親も、親戚も、年齢も、出身地も、よくわかりません。
できるだけ早く、アップしますね。
キリンのように首が長くならないうちに…。


2020.1.23 天乃 みそ汁
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