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ザ・ギャンブラー

【概要】新型コロナウイルスとの戦い。ケニー・ロジャースさんを偲ぶ。ザ・ギャンブラーの人生。バブル崩壊とリーマンショック。

最近の新型コロナウイルスの影響もあり、私は、仕事のスケジュール調整や、会社の危機への備えなどで非常に忙しくなり、コラムの投稿が遅くなっています。
NHK大河ドラマ「麒麟がくる」のコラムも滞っており、申し訳ありません。
なにしろ、しっかり長文で書きたいタイプの小生ですので…。

個人的には、大河ドラマで楽しみにしていた内容が省略されるなど、最近は劇的な展開をあまり感じていませんので、まとめてコラムで書くつもりでおります。

今は、「働き方改革」という名の政策もあり、文化的影響は仕方ないのかもしれません。
なにしろ、ものを作る人たちには、時間的な感覚はありません。
そこにきて、新型コロナや主役級女優の降板です。
最後まで、しっかりドラマ撮影してくれるかも心配しています。


◇新型コロナ

さて、新型コロナウイルスについては、皆さまご存じの展開ですね。

私は東京在住ですが、暮らしている地域には、すでに感染者や発症者がけっこういます。
気のせいか、日に日に、咳きこむ通行人が増えているような気もしています。

いつも行く、いくつかのスーパーマーケットでも、従業員から感染者が出たり、その影響で一時休業しているお店もけっこうあります。
もはや、いくら感染に気をつけていても、自分で防げる範囲を超えているのかもしれません。
感染する危険性、感染させてしまう危険性の両方で、一応、その時の自分の行動を事前に考えてはいるつもりですが、上手くいくかは、その時になってみないとわかりません。

それにしても、大都会の感染者の多くいる地域と、感染者の発見されていない地域のあいだには、温度差が大きくあるような気もしますね。

* * *

一応、私は持病のある中高年世代ですので、すべての可能性を考えて備えをするつもりではいますが、関連して起こる経済危機だけは、何が起こるか想像もできません。

バブル崩壊、リーマンショックを乗り越えてきた世代としては、その経済ショックの影響の大きさは、二度と味わいたくない社会現象です。

その両方を経験したことのない若い世代が、今の経済ビジネス界に半分くらいはいるのかもしれません。
かなり心配しています。

テレビなどでは、経済危機による死者の数は、新型コロナでの死者の数を越えるかもしれないと語っていますが、そうなるのかもしれません。
前述の両方のショックの時期に、東京都心では、ほぼ毎朝のように通勤電車が止まっていました。
同じ朝に、何ヵ所かの電車の路線が止まるのです。
一度に、数路線が停止することもめずらしくありませんでした。
朝だけでは、もちろんありません。
ほぼ毎日がそのような状況でした。

理由はご想像のとおりです。
各鉄道会社には、処理班がいますが、もう追いつかない件数です。
遅延証明書なるものが、世の中に登場してきたのも、この頃だったような気がします。

私が、他人の「夜逃げ」を実際に目にしたのも、その時だけです。
直前の天国のような極楽の世界から、数日で地獄に落ちるという現実は、今の若い世代には信じられないことかもしれません。
はたして、今の若い世代が耐えられるかどうか…。

* * *

前述の両方のショックは、原因がはっきりしており、対処法も人間の能力で乗り越えられるものでした。
影響を大きく受けることのない国民も多くいました。

今回は、相手が未知のウイルスですので、対処法が見つけにくい状況です。
期間も想定できません。

現時点までの経済ショックが、前述のショックを越えるほどの状況になるのかどうか、まだ推測できませんが、さまざまなリスクに備えておくのは無駄にはならない気がします
生きていれば、きっと道は開けます。

* * *

新型コロナウイルスに自分が感染する可能性を、自分自身で少しでも減らすかどうかは、個人の自由ではあります。
もし新型コロナに感染しても、そのウイルスによる身体的影響を少しでも軽減させるかどうかも、個人の自由です。
もし新型コロナを感染させる側になっても、特別なケースを除いて、罪はとわれません。

命の重さを最優先するかどうかも、個人や企業の自由です。
自粛要請など、どこ吹く風という企業もたくさんいます。
何を優先するのか、個人や企業の自由です。

今の日本は、いろいろな意味で、まだまだリスクの高い段階だということは、確かな気がします。

* * *

テレビ番組を見ていましたら、やはり、手洗いやうがい、マスク着用が、付着したウイルスの数を大幅に減らすのは間違いないようです。
特に、持病のある方、高齢者の方には、それを行うか行わないかによって、結果が大きく変わってくるのは想像できます。

自分自身へのリスクを、自分自身が、どのようにコントロールするのか…。
自由であることは、ある意味、覚悟も必要になってきますね。

電子マネー一本や特定の保険に頼る、ある病院や一店舗に過剰に依存するなど、ある特定の部分に過剰に依存している状態は、非常にリスクが高い気がします。
フレキシブル(柔軟)に対応できるようにしておくこと、あるいは、近隣の人間と助け合うシステムを自分の周囲につくっておくこともいいのかもしれません。
個人の想像力が、ある意味、試されている気も少ししますね。

身体的な被害、経済的な被害から、ひとりでも多くの方が乗り越えられることを願っています。


◇ザ・ギャンブラー

さて、今回のコラムでは、ある歌の歌詞を少しだけご紹介します。

先日、米国の有名なミュージシャンである、ケニー・ロジャースさんが81歳で亡くなられました。
新型コロナではなく、老衰による自然死だったそうです。
おそらく国民葬になるのだろうと思います。

私は、80年代に音楽ものをたくさん書いていたこともあり、彼の音楽にも、相当に助けてもらったり癒されてきました。

グラミー賞をたくさん獲得したカントリー歌手という肩書が、テレビニュースなどでは多く語られていますね。
私の印象では、ハードやサイケデリックなロック分野ではなかなか芽が出ずに、その声や歌い方の魅力もあり、カントリーっぽい楽曲がぴったりはまったというように思っています。
特にバラード曲は、彼の魅力を大きく引き出しましたね。

ですから、何か、カントリー色いっぱいのカントリー歌手というよりも、もっと幅の広い音楽スタイルで、まさに彼独自の音楽世界だったように感じています。

彼の音楽が、カントリーファンだけでなく、世界中の幅広い音楽ファンを魅了したのも、米国のカントリー音楽という特定の枠の中にあったものではないことを証明しています。

* * *

ここで、彼の代表作のひとつとなった「ザ・ギャンブラー」というグラミー賞受賞曲の歌詞を少しだけご紹介します。

世の中のヒット曲には、メロディの良さで売れる楽曲、歌詞の内容で売れる楽曲、その両方で売れる楽曲、それ以外の要素で売れる楽曲がありますね。

個人的には、「ザ・ギャンブラー」は、その しびれるような歌詞の内容で、いつまでも愛される楽曲であり続けている気がします。

こうした雰囲気の内容の歌詞は、日本のポップ音楽の楽曲の歌詞には、ほとんど見受けられません。
文学の分野にはありますが、このあたりは、日米の違いですね。

* * *

「ザ・ギャンブラー」の歌詞は、全体的に、あるギャンブラー(賭博打ち)の男の人生観を歌っています。

どちらかというと、「勝ち組」ではなく「負け組」の人間ですが、そこには、納得させられるような人生観が語られています。
「勝ち組」と「負け組」の境は、非常に微妙で、紙一重ともいえますね。

あるギャンブラーの男が、夜汽車の中で、別のあるギャンブラーに出会い、会話が始まります。
エアコンのない深夜移動の夜汽車ですので、二人とも勝ち組であるはずはありません。

その相手の別のギャンブラーが言います。

「俺は、他人の顔色をうかがいながら生きてきたのさ。
相手の目を見れば、そいつのカードの手の内がわかるのさ。
お前さんの手元には、エースのカードがないね。」

そう言うと、相手の持つウイスキーを奪って、ひとクチで飲み干してしまいます。
そのギャンブラーは、さらに語ります。

「勝負に勝ちたいなら、勝ち方を覚えることさ。
いつまで我慢するのか、いつ降りるのか。
どの段階で席を立つのか、逃げ出すのはいつなのか。」

さらに語り続けます。

「ゲームのテーブルについている時に、チップを数えてはいけねぇ。
勝負の後に、数える時間はたっぷりあるさ。
本物のギャンブラーなら、生き残る術(すべ)を知っているのさ。」

「どのカードを捨てて、どのカードを残すのか。
どんなひどい手でも勝つことはできる。
いかに、いい手だと思っても、負けることもある。

つまり、俺たちギャンブラーは、ベッドの上で死ねれば本望なのさ。」

* * *

私は、人生の中で時折、ケニー・ロジャースさんの口調で、この物語を聴きたい衝動にかられる時があります。

今、新型コロナウイルスと戦う時に、どのカードなら勝てるのか…。
本物のギャンブラーなら、いったい、どうするのだろうか…。
いつ、席を立てばいいのだろうか…。

この戦いは、今の段階では、ギャンブルなのかもしれません。

時間を経過することで、ギャンブルではなくなるのでしょうが、今は、真っ暗闇の荒野を、エアコンのない夜汽車に乗っている気分にもなります。

この夜汽車が、早く、人々の笑顔の花で飾られた、どこかの駅のホームにたどり着くことを願っています。


◇生き続ける名曲たち

♪ザ・ギャンブラー
♪明日への扉
♪荒野に消えた恋
♪愛のメッセージ
♪レイディー
♪シー・ビリーブス・イン・ミー
♪ホワット・アバウト・ミー
♪愛ひととき
♪弱虫トミー
…音楽の歴史に残る、心癒される名曲ばかり。

機会がありましたら、和訳歌詞も読んでみてください。

いつまでも名曲は生き続けます。
彼と同じ時代を過ごせて本当によかったです。

ミスター ケニー、本当にありがとうございました。
ケニー・ロジャースさん、安らかに…。

(しっかり育った臆病者の弱虫トミーより)


2020.3.22 天乃 みそ汁
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