「映像&史跡 fun」は、映像・テレビ番組・史跡・旅・動画撮影のヒントなどをご紹介するコラムです。

五輪に舞う桜 / 人を動かすもの

【概要】山梨県韮崎市の「わに塚の一本桜」。東京オリンピック延期。令和の「小山評定」。新型コロナウイルスとの戦い。山梨県甲府市の手づくりマスク。品薄と買い占め。人を動かすもの。聖火リレー。


◇オリンピック延期

東京オリンピックの開催が一年以内の延期となりましたね。
やっと方向性が固まりました。

今や、オリンピックは、権力者、市民、選手、関係者、企業など、特定の者たちのために存在するものではなくなっていますね。
もはや、スポーツという要素だけのイベントではありません。

もちろん、そこには、運営のための大きな出資者や権力者の影響力は、はかりしれません。

そして、スポーツの記録や勝負を競いあう大会という意味合いだけではない、戦争回避の要素も含めた、世界が共同で行う政治的・社会的な大イベントという意味合いがもっとも大きいような気がします。

「スポーツと政治は別のもの」とは、ある側面から見た表現で、オリンピックは、政治的、社会的なイベントそのものだと感じます。
経済やビジネスとも、切っても切り離せません。
だからこそ、スポーツはビジネスとしても成り立つことができますね。
スポーツを出発点として身を起こす人たちも、たくさん生まれてきます。


◇オリンピックの寝言と自信

江戸時代の人物で、日本の経済思想の基礎を作り上げたといっていい、二宮尊徳(金次郎)の言葉に、「道徳なき経済は罪悪であり 経済なき道徳は寝言である」(現代訳)という有名な言葉がありますね。

もしオリンピックを表現するのであれば、「理念や道徳なきオリンピックは罪悪であり、政治や経済なきオリンピックは寝言である」ということなのでしょうか。

今回の延期決定は、誰が「ファースト(最優先)」というものでもなく、すべての方面が痛みを分け合う、「痛み分け」ということなのでしょうか。
皆が少しずつ、「痛み」を味わうのかもしれませんね。

* * *

ただ、すでに各国で代表に決定していた選手には、過酷な部分も多く残るのかもしれません。

次回のオリンピックでは、選手たちの普段以上の精神力の強さや調整力、選手によっては、年齢との戦いが求められますね。
ただ、競技やライバルと同時に、コロナウイルスと戦うことよりは、少しは負担が減るような気がしています。

並みの選手たちよりも、はるかに強い精神力で、日本の各競技のトップの地位にいる彼らです。
これで負けてしまうような選手たちが、トップの地位にまで上がってくるはずはありません。

おそらく、彼らなら乗り越えてくれるのだろうと思っています。
選手の皆さん…、自信を持って、がんばってください。


◇最後まで走り抜けて

日本の外交力や、新型コロナ感染の今後の状況によっては、まだ「開催中止」という可能性が完全に消滅したわけではありませんが、これから、各国それぞれ、各競技団体の中で、代表枠について、相当な政治闘争が始まるのだろうと思います。
日本でも、競技団体によって、取り組み方は異なるのだと思います。

選手たちは、政治闘争と練習の両立が必要になってくるのだと思います。
政治的な事柄については、周囲に助けてくれる人々を早く見つけて、彼らに任せ、選手は競技に専念してほしいものです。

* * *

延期によって新たな戦いの場に陥ったのは、スポーツ選手の人々だけではありません。
業界を問わず、世界各地で、新たな戦いが始まります。

特に日本では、さまざまな分野で新たな戦いが始まります。
コロナと延期…、もはや戦うしかありません。

♪負けないで、もう少し。
♪最後まで、走り抜けて…。
今は亡き zard(ザード)が歌っていましたね。

まだまだ、山や谷は続きます。
現時点までは、新型コロナウイルスに、人類が屈したかたちです。
人類は、このまま負け続けるほど、やわな生きものではないと思っています。

選手も関係者も、企業団体も、市民も、みんなで最後まで走り抜けましょう。

* * *

それにしても、新型コロナウイルスの影響で、世界中の人間社会のさまざまな戦いの構図が浮き彫りになりましたね。
コロナの破壊力のすごさには、あらためて驚かされました。


◇深層は煙幕の中

今回の延期決定までの一連の流れから考えると、かなり早い段階から、JOCやIOC、安倍首相、米国などが動いていたようにも感じます。
短期間で決められるような内容ではありませんから、今のこの1~2週間の表の出来事は、最後に表面にあらわれてきた事柄である気がします。
世論におされて、事が進んできたなど、到底考えられません。
かなり早い段階から進められてきたことでしょう。

大会組織委員会の森会長は、本人が首相になる前から、煙幕をはるのに非常に長けた政治家です。
今回も、濃淡さまざま、いろいろな色の煙を、大量にまいていましたね。
マスコミも、ある意味、会長の思いのままに動いていたような気もします。

信長、秀吉、家康、信玄、謙信、政宗…、みな大きな戦の前には、最短でも数か月の準備を行います。
勝ち残る政治家たちは、準備も周到でしたね。


◇まるで戦国武将

この「映像&史跡 fun」は、基本的に「歴史コラム」ではありますが、今回のオリンピック延期の騒動では、ほんとうにたくさんの戦国武将たちが登場してきましたね。

戦国時代の武将どうしのような、微妙でスレスレな言葉表現やタイミング、ギリギリの交渉など、そのかけ引きは、外野で見ていても、かなり緊張感漂うものでしたね。

各国首脳やバッハ会長、各スポーツ競技団体トップたちなどの微妙な言い回しや、タイミングの探り合い…、まるで戦国時代の武将どうしのかけ引きを見ているようでした。
ちょっとやそっとの政治家では、なかなか難しい気がします。

* * *

各スポーツ競技団体には、それぞれに有力な国がついており、そこには複雑に絡み合ったスポンサー企業、有力な権力者などがいることは、周知の事実ですね。
各競技分野の中では、いつもルールや階級、道具、会場、日程などで、激しい勢力争いを行っています。

今回は、マラソン選手の靴の問題で、ものすごい戦いが起こっていましたね。
また1年延びたら、これまで以上の、ものすごいシューズ(靴)が登場してくるかもしれません。
日本の靴メーカーも、十分、追いつけますね。
きっと今頃、どこかで色めき立っていることでしょう。

* * *

今回、オリンピック大会の直前に、予定通りか・延期か・中止かで、スポーツ選手ではない、背広組がこれほどの大激戦を繰り広げることになるとは、コロナ感染が起きるまでは、想像もしていませんでした。
当事者たちも、そうだったでしょう。

さらに、IOCの中のライバル関係やチカラ関係まで見えてくるとは、想像もしませんでした。

さすがに、普段から戦い慣れた背広組です。
いつ戦場に放り込まれても、それなりに、しぶとく戦うものですね。
皆に「あっぱれ」を、あげたくなります。

* * *

オリンピックの歴史の中で、過去に何度か「中止」や「ボイコット」はありましたが、「延期」はまったく前例がないそうです。
そういう意味では、現時点で「延期」を勝ち取った日本は、かなり善戦した気がします。
ある意味、勝利でしょう。

そういう意味では、言葉やタイミングを慎重に選んで戦術的に使う、軽率ではない老練な「勝負勘」のある日本の首脳陣がいて、よかった気がします。
各方面への、突き放すようでいて実は手厚い、なかなかの配慮もうかがえました。
普段は、いろいろな問題を抱えている方々ですが、この件については個人的に、すばらしい「成果」だと思っています。


◇聖火は手に入れた

さて、自動車による聖火ランタンの全国巡回プランは、もともと「聖火リレー」とはまったく別のものだと思います。
テレビでは、同一視したような論評が多かったですが、こうした方策を同時に並べ立てるのが、昔から有力な戦国武将たちが行ってきた戦略ですね。
いつでも都合よく解釈できる、おとりのような方策は、家康も、秀吉も、得意技でしたね。
テレビ番組も、わかっていて騒ぐのでしょうが…。

テレビは、騒いで叩くことに時間を使ってナンボ…の世界ですから、視聴者から見たら、こんな重箱の隅をつついてもということもありましたが、それも仕方ないですね。
けっこう、テレビの前でそんな時間を過ごすのも有益なことだってあります。
なるほど、こうやって戦うのか…。

それにしても、ギリシャで採火された聖火を、ギリシャ国内でリレーをさせずに、日本にさっさと運んで、しっかり「人質」にとるとは、戦国武将も真っ青の剛腕(ごうわん)ですね。
ギリシャは、もはや味方と考えてもいい…?
ある意味、国内の聖火リレーは、日本の都合で、いつ、何度、行ってもいいですよね。
なかなか、たのもしい現代の日本の武将たちですね。

* * *

戦乱の世で勝ち残った戦国武将の戦い方でも、平和な現代の大人の戦い方でも、人間社会の争いとは、このようなものですね。
本当の敵が別にいようがいまいが、戦場に放り込まれたら、目の前の敵と戦うしかありません。
もちろん弓矢や鉄砲で戦うことだけが、戦いではありませんね。
今回は、まざまざと激烈な政治闘争と、戦術を見せてもらいました。


◇新しい時代の危機管理

今、新型コロナをめぐって、いろいろな社会問題も起きています。
私が暮らす東京も、非常に緊迫した状況であるのは明らかです。
都心地域の我が家の周辺でも、院内感染、防護服での消毒作業、クラスター感染も、自宅の3キロ範囲に起きています。
商品の品薄状態や買いだめ問題、自粛要請の無視など、コロナ関連の社会問題により、多くの市民の悲痛な声もたくさん聞こえてきます。

* * *

日本の古い歴史を見ても、今回の世界のどの国の状況を見ても、デマ情報がSNSで意図的に流されようが流されまいが、テレビで誘発するかのような映像が繰り返し放送されようがされまいが、こうした社会問題は大なり小なり必ず起こります。
リーダーが、いくら警告や忠告をしても起きます。
天気予報の時間に、桜の美しい公園の風景映像をテレビで見てしまえば、行きたくなるのは当然の心理です。
閑散とした飲食店や商店街の映像を見ると、あえて足が向かなくなるのも、人間の心理です。

歴史を見ていると、悪気はない原因で、世論が大きく動き出したり止まったりするということは、いくらでもありました。
歴史の評価まで左右されることも少なくありません。

人の考え方や生き方、心理は、多様過ぎるほど多様で、非常に複雑です。
大都市であればあるほど、国際化した都市であればあるほど、そうなのかもしれません。

もはや、日本だけは…、日本人の国民性だけは…、「別もの」だという発想は違う気がします。
もちろん国民性によるすばらしい点もありますが、暮らし方の時代変化や、世代ごとの思想の変化をしっかり考慮し、危機管理のあり方、メッセージの発信の仕方を、考え直す時期にきているのかもしれませんね。

* * *

小規模店舗や食料品店などなら仕方ありませんが、東京都の緊急自粛要請をまったく無視する大型店舗をかかえる大企業グループもけっこうあります。
皆さまも薄々感じていると思いますが、企業グループによって、災害時の対応はいつも大きく分かれます。
また、あのグループか…。
こうした姿勢は、従業員やお客様への姿勢にも、ほぼ通じるのだろうと感じます。

就活生の皆さん…、就活説明会を急きょ中止する企業、そのまま実施する企業…、企業の社員への姿勢はあなた方の想像どおりだと思います。

東京は、もはや「要請」が通用する都市ではありませんね。
日本全体とはいいませんが、強い規制や罰則が必要になる特定地域は、日本にも、すでにあると思います。


◇感じるな、考えろ

よく、人間には、「それをやってはいけません」というと、悪気はないのに、それをわざわざ やってしまうタイプの人がいますね。
道路の工事現場で誘導灯を振る人に、わざわざ近づいていく自動車の運転手もいますが、それと同じです。

実は、そうした人には、「それをやってはいけません」ではなく、「別のこれをやってみませんか」と言うと、「それ」をやらなくなったりします。
彼らには、「それ」のことを強く伝えてはいけないのです。

逆に、はじめに「これをやってみませんか」と言うと、「これ」ではなく、やってはいけない「それ」を、わざわざやってしまうタイプの人もいます。
そういうタイプには、「これ」のことを強く伝えてはいけないのです。
彼らには、「それをやってはいけません」としっかり伝えれば、「それ」をやらないのです。

スポーツ分野や教育現場の指導者の方々は、指導する時に、選手ごとに言葉を変えますよね。
ひょっとしたら、危機管理の時の市民へのメッセージの発信も同じなのかもしれないと、最近感じています。

危機の重大さを、ことさら大きく激しく伝えるだけでは、逆に行動できなくなる、あるいは逆の行動に向かってしまう人も少なからずいるのだろうと感じます。
本当は、そうした人たちは、逆に反応が素直すぎるのかもしれません。

近年の地震や台風、洪水などの大きな自然災害での、緊急メッセージへの市民の反応を見ていると、なんとなく、そんな気がしてしまいます。

* * *

あなたは、自分自身を第三者の目で見ると、どんなタイプですか…?
「やってはいけない」と言われて、逆にムズムズしてきませんか…?
「こうしてください」、「こうしなさい」と言われて、やる気がなくなったりしませんか…?
「そんなことはカッコ悪い」、「そんなことはつまらない」と他人の噂を小耳にはさんだだけで、それならやめておくかと決断したことはありませんか…?

昔から日本には、人を動かすのに、「だまされたと思って…」という言葉表現がありますね。
ある意味、自己責任の回避にも感じる表現ですが、固定観念や縛りから解き放ってあげるような雰囲気も感じます。
人は、自分自身が、どの位置の、どの立場の、どの状況にいるのかが、まったく理解できていないと、その場から動き出せないこともあります。

自分のタイプを自覚することや、状況の理解ができていると、危機への備えや、緊急時に自分に適した、とるべき行動が見えてくるのかもしれませんね。

* * *

各地域の首長(くびちょう)さんがどんなことを言おうが、テレビでどんな映像が流されようが、それは自分への情報のひとつ…、最終的に判断し行動するのは自分自身です。
もちろん、迷ったら、近くの誰かに助けてもらってもいいと思います。

危機の時は、ブルース・リーさん主演の映画「燃えよドラゴン」の台詞とは逆なのかもしれません。
「Don't Think. Feel /(頭で)考えるな、(身体で)感じろ)」ではなく、「感じるな(反応するな)、(頭で)考えろ!」。

人は、恐怖心や固定観念によって、思考機能が停止しやすいのも事実です。

各地域の首長さんたちは、言えるギリギリの範囲の、内容で、言葉で、何かを表現しています。
何を否定していないのかも、しっかり聞き取っていきたいですね。
「ちょっと何言ってるか、ワカンナイ」では、すぐにコロナの餌食になってしまいそうです。

人間の心や行動のスキを上手くついてくる、コロナの連中です。
奴らは、どの動物でもなく人間こそが、コロナ自身の勢力拡大・大繁殖の格好の餌食だと知ってしまったようです。
人間の英知で、コロナの弱点を早く見つけてほしいものですね。


◇メッセンジャー

それにしても、メッセージは、表現方法次第で伝わり方がまったく違ってきますね。

先週あたりの、幾人かの閣僚の発言を耳にして、これでは安心感や期待感、危機意識を与えるどころか、多くの人々の危機意識を緩めてしまうと感じていましたら、案の定、東京では、大量の花見客が街にあふれてしまいました。
いくつかのイベントも再開です。
結果は、1~2週間後に出てきますね。

* * *

テレビでも、毎日のように、コロナに関する新情報、珍情報が次々に登場してきます。
事実もあり、ニセ情報もあり、便乗情報もあります。

テレビ番組によっては、きちんと事実を紹介し、仮定のもとで解説するものもあれば、他方、興味本位に、珍コメンテイターや御用学者による不思議なコメントもたくさんあります。
一部の番組は、各情報の分析をまったく行っていないようにも思われます。

* * *

今朝も、コロナに関する、ある感染現象や薬の話しなど、多くの人が動揺するような情報が、何の分析も解説もなく報道されています。

東京での「買いだめ」報道に関しても、東京での食料の買いだめが始まったのは、都知事のコメントの数週間前から、実は始まっていました。
放送局では、情報収集や心理行動分析の時間がいくらでもあったはずなのに、何もせず、何の解説もなしに、スーパーの空っぽの棚の映像を、都知事の会見に便乗するかのように突然映して、「在庫や物流は安心です」という言葉を付け加えただけでは、一度火が付いた、人々の動揺はおさまりません。

報道機関を名乗るのであれば、きちんとした情報収集と分析を行い、さらに報道後の影響も考えた上で、しっかりとした解説付きで放送してほしいものです。
こんな、バラエティ番組のような扱いで映像や情報が流されたら、混乱を上塗りするのは目に見えています。

* * *

テレビには、外国の30代の感染者の病床での切実なメッセージ動画など、大切で有益なものが流されたりしていますが、中途半端な情報や映像も氾濫しています。
コロナに関する報道番組で流す必要があるのかという情報や、このコメンテイターは必要なのかということも、多かったりしますよね。
私たちは、しっかり見分けていかないと、いけないですね。

* * *

さすがに、今朝のお薬報道や身体の前兆現象には、私も動揺が続いています。
どうすりゃ、いいのさ…。
外国の報道機関も、こうした情報は飛びつくのかもしれません。
外国にも、似たような事例がたくさんあるとテレビ番組で知りました。
この情報は、また新たな問題に発展しかねません。
これについては、放送局はしっかり分析・準備して、きちんとした内容で放送してほしいものです。

* * *

先日、道路で、あるワンちゃんが私をじっと見つめていました。
えっ…何、何を伝えたいの…、お前は何を感じたの…。
今は、いろいろな情報に敏感になり過ぎないようにしたいものですが、自分の身体からのメッセージには注意を払いたいものです。


◇自分たちのチカラを

一方、今朝の報道では、外国企業のGMやダイソンなどが、人工呼吸器の製造を開始することが発表されました。
今回のコロナ問題で、世の中にこれほど人工呼吸器が少量だったのかと驚きましたが、米国では、動物用の人工呼吸器を改造して、人間の治療に回していますね。
そうした中で、この人工呼吸器製造の報道は、安心感を与えてくれます。
頼むぞ、骨のある企業たち…。
航空機メーカーのボーイング社は、倒産する(?)くらいなら、その技術力で医療機器製造を始めたらどうなのでしょうか…。

人工呼吸器の製造技術の難しさについては、よく知りませんが、日本企業もどんどん続いてほしいものです・
日本人は、モノを安価につくる天才的な能力もありますよね…。

ワクチン開発製造の社会システムも、新たな構造変化が必要になってきているのかもしれません。

とにかく、感染リスクの高めの方は、情報収集と分析・思考を止めてはいけないのでしょうね。
不埒(ふらち)なヤカラは、コロナだけではありません。
情報の中にもたくさんいます。

集まった情報のどれが正確なもので、どれがニセやデマのもので、どれが誤った解釈のものなのか、自分自身でしっかり考え、適切な解釈をすることは、非常に大切なことなのだろうと強く感じます。


◇令和の「小山評定」

さて、東京オリンピック開催問題の話しに戻ります。

今回の結果は、反対抵抗勢力の動きによっては、「開催中止」も十分にあり得たと感じています。
日米の首脳の関係性が非常に良いこと、中韓露が何も言わなかったこと、欧州主要大国が別に大問題を抱えていたことなど、非常に状況がよかった気がします。

あのトランプ大統領は、いつも通りで、日本には実は命令に近いものでしたが、今回、実にやさしい言葉表現でしたね。
日本ではない他の国の首相が相手だったら、その言葉は、かなり違っていたかもしれません。
安倍首相とトランプ大統領のいい関係性が、これほど有難いと感じたことはありません。

* * *

IOCの通常の決定であれば、そこに日本国民の願いなどは、到底 太刀打ちできなかったと思います。

延期決定直前のG7首脳による緊急テレビ会議でも、真っ先に、米国と英国が、日本に援護射撃をしてくれたそうですが、もはやこれほどの援軍はありませんね。
「ダイヤモンド・プリンセス号」での貸しは、しっかり返してもらいましたね。
いつか、日本・米国・英国は、TPPでも連携を行うかもしれません。
その前哨戦と考えると、強力な三国関係にも見えてきます。
政治とは、複雑に絡み合っているものですね。

何とか、最初の中止危機は乗り越えられました。

* * *

G7の緊急会議の前後の数日に、申し合わせたように、各国首脳や、有力な競技団体から、延期を求める、あるいは選手派遣中止の表明がされましたが、これも、IOCや日本の戦術とも考えられます。

外圧を上手に引き出すことで、IOCと日本、米国などの一部の権力により、延期が強行決定されるものではないことを証明させることに成功したように感じます。

表明の中には、もちろんまったくの批判もあったでしょうが、延期決定への援護の意味合いのものも多くあった気がしています。
最初の強力な表明が、もっとも若年の首相のいる、米国の隣国のカナダだったことも、何も意味しているのかとも感じます。
もちろん、米国からの強めの援護メッセージもありました。

G7の緊急テレビ会議の前後で、いったい何が行われたのかは、公表されることはないでしょうね。
首脳が顔をそろえて、G7で団結しましょうだけであるはずはありません。
さらに、オーストラリアの表明は、おそらく…。

結局、開催の延期を、西側陣営の最有力国のG7の共通認識としてまとめることができました。
もともと日本開催を良しとしない勢力にとっては、この共通認識は最大の敵になりますね。

批判している勢力が、実は最大の援護者だったということは、歴史の中にはたくさんありましたね。
もし、これもそうであったなら、戦国武将のような見事な戦略です。

* * *

徳川家康も、豊臣秀吉も、大勢の配下の者に神輿(みこし)を担がせ、「皆が言うのなら…」と、最後にその上にゆっくり乗るのが上手でした。
担ぐ者も、最後にそれに気がつく者、意識して担ぎ手になる者、真っ先に担ぎ手に立候補する者など、その思惑はさまざまでした。

徳川家康の「関ヶ原の戦い」を行う際の事前戦術のひとつに、有名な「小山評定(おやまひょうじょう)」というものがありますね。
今の栃木県小山市(おやまし)での、多くの戦国武将たちによる大会議です。
石田三成が率いる西軍と戦うにあたって、東軍の軍構成や戦略を決定する重要な会議でした。
家康は、一部の武将と事前に打ち合わせの上、その会議にむかい、結局、全員の総意であらためて、家康は神輿(みこし)にのぼります。

このことは、西軍の中の有力武将たちにも大きな影響を与え、結局、西軍から東軍にどんどん離反者を生むきっかけにもなりました。
知らぬは、三成と淀君、上杉ばかりなり…。

今回のG7緊急会議は、まさに、令和の「小山評定」のように見えてきます。
「関ヶ原の戦い」同様に、ほぼ、(延期決定までの)戦いの半分以上を制したようにも感じます。
歴史ファンの私としては、見事な決定過程に見えました。

実は、豊臣秀吉にも似たような会議がありました。
信長死後の覇権争いを制した有名な「清須会議」、家康と秀吉による事前打ち合わせの上での大坂城での臣下表明、などたくさんありましたね。
徳川家光と伊達政宗の茶番劇というものもありましたね。

実は、会議には、弓矢や鉄砲での戦争と同じくらいの、絶大な効力のあるものもあるのです。
今回の一連のIOCと日本と(米国?)も、これらに匹敵するのかもしれませんね。
ずっと先の未来に、どこかの研究者がひも解いてくれのかもしれません…。

* * *

延期の決定とあわせて、上手くすると、追加費用もIOCと日本の負担だけで済まなくてもよくなるのかもしれません。
家康や秀吉は、「天下普請(てんかぶしん)」という奥の手を使いましたね。
ここは、「金は日本に任せておけ、そのかわり…」というのも、ひとつの戦術ではありますが、政府や東京都はどうするのでしょうか…。

とはいえ、日本のオリンピックに対して、もし外国の支援があるとしたら、何を支援するでしょうか…?
金でなくても、支援の方法はいくらでもありますね…。

コロナショックによる世界的な経済危機から、いち早く回復した国が、次の世界経済の主役に躍り出るのは間違いありません。
コロナの制圧後に、激しい競争が始まるのは必至です。

各国による東京オリンピック支援合戦にでも持ち込めれば、日本にはさらにいいことですが、中国や米国あたりはどう出てくるでしょうか…?
2年後の冬のオリンピックは、ちょうど中国の北京で開催です。
何かの動きが始まるような予感がします。


◇スポンサー様

いずれにしても、延期決定後も、オリンピックに絡んだ各国や各競技団体の思惑が交錯してくるのだと思います。

今回は、内情はまったくわかりませんが、トランプ大統領も、オリンピック最大の民間スポンサーである、米国のテレビ放送局NBCと、上手く調整したのかもしれません。
あるいは、あうんの呼吸かもしれませんが、内情は闇の中でしょう。
一民間企業のNBCとはいっても、実際のオリンピックは米国の支配下にありますね。
これからもずっと続きます。

NBCは、ここで自社利益のために都合のいい主張をしただけでは、世界を敵に回す可能性もあります。
ある程度までは、折れるしかありませんね。

日本でも、コロナ問題で、野球に絡んで、読売新聞と毎日新聞の二社が妥協しました。
後は、朝日新聞ですが、夏の甲子園はさて、どうなるでしょうか…?
感染状況にもよりますが、朝日だけを日本社会が許すのかどうか…。

放送局や新聞社は、世の中に寄り添わなくなった時点で、存在意義を問われることにもなりかねませんね。
報道機関とスポーツの世界…、遠いように感じますが、実は近い存在なのです。


◇関係者様

さてさて、今回、「世界陸上」と「世界水泳」のチカラの大きさも、まざまざと感じることになりました。
たしかに、オリンピックの前半は水泳中心、後半は陸上中心と、完全に二分されて、オリンピック大会が運営されていますね。
格闘系や体操系は、まだまだ三つ目、四つ目の強力な勢力として、一枚岩となって対抗できるまでにはきていない気がします。
球技系はもともと、オリンピックとは別に大きな勢力や大会があります。

オリンピックは「平和の祭典」とも呼ばれていますが、いくつかの勢力と話しをつけて まとめあげ、平和という全体構図をつくるのが、いかにたいへんな作業か、今回、深く実感できました。

昨日の、大会組織委員会の森会長の会議での挨拶…、その大変さが、ひしひしと伝わってきました。
千葉県の森田知事も、会場の件で、もう泣きそうな顔に見えましたね。
関係者の皆さま、がんばってください。

* * *

いずれにしても、一年後の今頃に、もし新型コロナウイルスが制圧できていなければ、さらに「再延期」はむずかしいとも感じます。
今後、アフリカ、インド、東南アジア、南米の感染状況や鎮圧の状況次第なのかもしれません。

まだまだ中止のリスクが、完全に消え去ったわけではありませんので、政府やJOCには、家康のような、上手い「かじ取り」をお願いするばかりです。


◇江戸・東京の桜

延期の決定で、ひとまず日本は、オリンピックの中止を気にせずに、新型コロナとの戦いにチカラを向けられますね。

ある意味、日本は国内のコロナとの戦いだけでなく、世界中のコロナとの戦いになります。
世界中のコロナを制圧しなければ、東京にオリンピックはやってきません。
延期したからと、祈って待っているだけでは、オリンピックはやってきません。

東京オリンピックでの、日本の戦いは、すでに始まっているような気分です。
日本人の皆がコロナとの戦いに参加しなければ、オリンピック開催という勝利はこないのかもしれませんね。

今回の東京オリンピックには、皆が否応(いやおう)なしに「参加する意義」を持てるのかもしれませんね。

若い世代の方々…、どうですか、オリンピックを目の前で味わってみたくはないですか…?
ちょっとでも参加した気分になってみたくはないですか…?
それなら…。

来年、東京に、美しい「五輪の桜」が咲いてほしいものです。


◇甲斐・山梨の桜

さて、ここまで、大人たちのドロドロした戦いのことを書いてきました。
ここで気分を変えて、気持ちのいい、すがすがしいお話しに切り替えたいと思います。

先日、山梨県甲府市の中学一年生のある少女の行動が、社会で大きく話題になりましたね。
テレビ、新聞、ネットのニュースでも大きく取り上げられました。

マスク600枚を、ひとりで、ミシンで手づくりし、それを山梨県に寄付したというお話しです。
材料費は、これまで貯めてきたお金数万円を使い、一日、約30枚のマスクを作り、休校措置が始まってからは、一日5時間以上作業をしていたそうです。
それまで、ミシンがそれほど得意でもなかったようです。
そのマスクは、山梨県の高齢者ケア施設や児童養護施設などに寄贈され、喜ぶ高齢者の姿がテレビでもたくさん放送されましたね。

こんな中学生が日本にいてくれたことは、感動するばかりです。
昨年、「スーパー・ボランティア」と呼ばれる、カッコいいお爺ちゃんが有名になりましたが、この少女も同じですね。
今、コロナ問題で、毎日 暗いニュースばかりですが、まさに桜の花満開のような気分の、大変うれしいニュースでした。

* * *

その後、世の中では、下着製造会社やタオル製造会社などが、手作りマスクを作り始めましたね。
こちらは商売ですが、それでも結構なことです。

あの電機メーカーの大企業シャープも、工場の一部のラインをマスクづくりに改造し、そのマスクが、そろそろ市場に出てくるはずです。
まずは医療や教育現場からでしょうが、この動きには、シャープさんを見直しました。

昔から日本人は、「なければ作る」の精神です。
今でも、なかなか日本は捨てたもんじゃありませんね。

ミシンメーカーや、生地屋の方々…、山梨の孤高の彼女を黙って見ている場合…?


◇孤高の気品「わに塚の一本桜」

さて今年は、心置きなく、桜の花見が行えない状況ですね。

そこで、山梨県甲府市のすぐお隣の韮崎市(にらさきし)にある「わに塚の一本桜」の動画をアップさせていただきます。
昨年、本コラムでアップしたものを、再びアップするものです。
撮影は数年前に行ったものです。

* * *

ヤマトタケルノミコトの王子「武田王」の古墳である「王仁塚(わにづか)」に咲く一本桜です。
樹齢約330年のエドヒガンザクラです。

富士山、八ヶ岳、甲斐駒ケ岳、甲府盆地を眺めることができる最高の場所です。
その孤高の気高さは、まさに武田信玄公の生まれかわりのようですね。

朝焼けもよし、日中もよし、夕焼けもよし、ライトアップもよし、星空もよし… かつては写真マニアの秘密の撮影地でしたが、今や観光バスが来る人気の大名所になりました。

今年は、どのような状況でのお花見風景になるのかわかりませんが、雄大な風景の中の一本桜を、どうぞ動画でお楽しみください。

* * *

あの中学一年生の少女…、まるで、この桜の花のようですね。

オリンピックの世界では「金」がたくさん舞い踊っていますが、本当は、こうした桜の花びらが、たくさん舞うべきものなのかも…。

新型コロナで、悶々とする話題ばかりのこの時期に、この少女には感謝しかありません。
この桜のように、立派に大きく育ってくれることを祈っています。

山梨県 韮崎市(にらさきし)神山町北宮地624



2020.3.27 天乃 みそ汁
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