「映像&史跡 fun」は、映像・テレビ番組・史跡・旅・動画撮影のヒントなどをご紹介するコラムです。


青い衝撃・青くない強い意志

【概要】ブルーインパルス。感謝と敬意をこめて。青い衝撃と無限大のチカラ。SNSの「功」。俺たちがついている。ゴジラと原子爆弾。河野太郎防衛大臣。


◇待ち望む衝撃

2020年5月29日、快晴の東京上空に、「青い衝撃」が走りました。
自衛隊機「ブルーインパルス」が、轟音とともに飛来したのです。

正午過ぎ、たくさんの東京の住民が、路上でスマホをかまえて、また、テレビの前で生中継を待ち望んで…、その衝撃の瞬間を待っていたのです。
おそらく、一番待ち望んでいたのは、医療従事者の方々だったでしょう。
それは、東京都の医療従事者だけでなく、日本中の医療従事者が待っていたのかもしれません。

皆さまも、テレビニュースなどで、病院の屋上に集まる、たくさんの医療従事者の方々の姿をご覧になられたと思います。
ブルーインパルスにむかって、「来た来た、来てくれた」と叫びながら、手をチカラいっぱい振っていたり、子供のように飛び跳ねる医療従事者の姿は、テレビを見ている私たちも感動する映像でした。
きっと、東京の街のいたるところで、このような光景が見られたのではないでしょうか。

この光景は、子供たちの目には、どのように映ったでしょうか。
一生、忘れないでいてほしい光景です。


◇その瞬間

テレビの生中継では、「埼玉方面から向かっている模様です」などと叫んでいます。
そして、その瞬間がやって来ました。

5本にも見える真っ白な線が、こちらに伸びてくるのです。
白い線の塊り(かたまり)が向かってくるのではありません。
白い線が伸びてくるのです。

かすかな飛行機の爆音らしき重低音と独特の金属音が、街の雑踏音を覆いかくすように、遠くから迫ってきます。
集まった人々からは、期待のような、歓声のような声が、徐々に大きくなっていきます。

* * *

あのウルトラマンは、テレビの中、映画館の中、本の中、イベント会場でしか見ることができませんね。
ドラマのように、もし私たちが現実に危機にさらされた際、本物のウルトラマンが目の前にやって来てくれるときは、こうした光景なのではないかと思ってしまいました。

こんな真っ青な「インパルス・ブルー」の空を用意してくれるとは、どのくらい素敵な演出家がいたのでしょう。
それが、空の中に浮かぶ白い雲とは、まったく別のものだということは、すぐにわかりました。
空一面の真っ青なキャンバスに、これほど白色の線がしっかり見えるのかと、実感した瞬間でもありました。

その白い線が、来る、来る、迫る、迫り来るのです。
「近い」と思った瞬間、轟音とともに、ものすごいスピードで、その一団が目に飛び込んでくるのです。
耳には、轟音しか入ってきません。

それは、もう白い線ではなく、高波のような、龍のような、真っ白な大きな「うねり」が、目の前を通り過ぎてゆくのです。
白いうねりの先頭には、確かに黒いような、白いような、青いような、翼を羽ばたかせないワシのような姿が、はっきり見えます。

自分の進行を止めさせることは、何者も許さないという、強い意志でもありそうな、そのチカラ強い、突破力、推進力が、その機体全体からにじみ出ています。
どこまでも、真っすぐな進行なのです。

* * *

そして、それは、六機編成の見事に整った、美しい二等辺三角形なのです。

もし、先頭の機が脱落しても、ほかの機が、もしその機が脱落しても、またほかの機が…、なにか、ものすごい団結力といいますか、公共心といいますか、いいしれぬ崇高な精神のようなものさえ感じさせます。

ブルーインパルスの、祝賀行事やショーでの飛行は、これからもたくさん見る機会はつくれるでしょう。
でも、今回のような、「強い意志」を感じさせるような飛行を見る機会は、そうそう無いのかもしれません。

オリンピックの開会や閉会の行事の飛行でさえ、これほどの意志を感じることはないかもしれませんね。


◇無限大のチカラ

先般、日本各地で同じ時刻に一斉に、花火を打ち上げましたね。
また、ある楽曲を、リモート技術を使って、みなが共通の意識で奏でるという取り組みもありました。

これらも、みな何かを応援するとか、意識を団結させて何かを乗り越えようという、強い意志のあらわれですね。
今回のブルーインパルスのそれも、もちろん、それらと同様だと思います。

それらに参加する者、それらを見ているだけの者…、いずれにしても、それに触れた人間に、何かを与えてくれるチカラがあります。

* * *

今回のブルーインパルスの飛行ルートも、東京都心の多くの場所から見ることができる、心にくいルート設定です。

特に曲芸飛行などを行わないのも、いいですね。
真っ青な大空の中に描かれる、真っすぐな白線…、これがいいのです。

実は、東京都心上空を、もし相当な高度から、この飛行ルートを見ることができたなら、それは「8の字」なのです。
「8」というより、「∞」という「無限大」のかたちなのです。

まさに、東京の医療従事者や住民たちに、「無限大のチカラ」を運んできてくれたのです。

今回の飛行テーマは「感謝と敬意をこめて」と聞いています。

河野太郎防衛大臣の発案だそうですが、この方は、時々大胆なことをされますね。
今回は、いくら高額な費用がかかったとしても、見事なアイデアだったと感じます。
日本国民に与えた「大きな感動」は、まさに「青い衝撃」だったと思います。

* * *

お金やマスクをもらえることは、たしかに、ありがたいことでしょう。
でも、弱っている瞬間に、必要な瞬間に、「差し伸べられる手」こそ、何より大切なのかもしれません。
ずいぶん後からやって来る「手」では、どうも…。

その手は、けっして、モノだけとは限りませんね。
人間が生きていくのには、お金やモノだけでは不可能です。
心や精神、希望や勇気がなければ、危機は乗り越えられませんね。
何かの「メッセージ」を受け取ると、人は動けたりもします。

5人や10人の要求では動かなかったことが、100人、1000人、1万人の声なき声になると、動き出すことも少なくありません。
国民ひとりずつへの、10万円支給もそうした声によって実現しましたね。
持続化給付金が10万円単位から、1円単位にもなりましたが、これも同様ですね。
今年の新規開業者への救済、芸術分野への救済、医療従事者への救済なども、同じです。

戦いは、新型コロナだけが相手ではありませんね。
戦国時代がそうであったように、戦いは、正攻法だけでは、まず勝てません。
相手がコロナでも、人間でも同じですね。
かけ引きがあり、攻防戦がありを繰り返しながら、時に、回り道もしますし、出費も必要ですが、一定の成果となってあらわれていきますね。
それは、いつか無限大のチカラにも変化します。

今回、ブルーインパルスが風穴を開けたかどうかはわかりませんが、とにかく、お金も、マスクも、応援や支援も、衝撃のメッセージも、早くチカラ強く…。
ブルーインパルスのように…。
無駄にしている時間はありませんね。

歴史を見ると、こうした一瞬の出来事が、その後の歴史を、また難局を、変えさせたということも、少なくありません。
今回のブルーインパルスのチカラを、無駄にしてほしくはないと思っています。

* * *

この衝撃波、無限大のチカラは、日本各地に伝わっていってくれるでしょうか…。

依然として、医療従事者が苦労し続けている地域は、日本中といっていいですね。
この真っ白な線と、ブルーインパルスの雄姿を、多くの人たちに、見せてあげてほしいものです。


◇「功」にかける

さて今回、「ブルーインパルス」のお話しを書くにあたり、ウルトラマン級の支援をいただきました。

「アメーバブログ」の中で、ブログを書いておられる「つみとカケル」様が、このブルーインパルスの模様を、素敵な写真と動画に残してくれました。
センスのある良質な写真にあわせて、素敵な文章も添えられています。

今回のコラムでは、その写真の一部を使わせていただきました。
このコラム内では、若干の加工をしています。

「つみとカケル」様のブログも、ぜひご覧になってください。
このコラムで使用したもの以外の写真や、爆音も聞ける動画が掲載されています。

「つみとカケル」様のブログ

* * *

今、ツイッターなどのSNSは、大きな岐路に立たされていますね。
でも、多くの一般の方々が、ブルーインパルスの写真を撮って、文章をそえてSNSにアップすることは、まさに自身の意思表示であり、公共心のあらわれそのものだと感じます。

たしかに、SNSには「功罪」があります。
でも、正しい「功」、良質な「功」のチカラは、相当な大きさです。
人類の危機の際、この良い「功」は、まさに絶大なチカラを発揮するのだろうと感じています。

「クラウド・ファンディング」を直訳すれば、「群衆からの資金調達」となります。
良いかたちの「クラウド・ファンディング」であれば、かなりの効果があるとも聞いています。

今後、SNSの世界を、社会が見直していくにあたり、こうした危機や公共の際の、良い「功」の活かし方を、もっと探っていってほしいと思っています。



これらの写真は、東京の隅田川を挟んだ、墨田区側と台東区側の両方で撮影されたそうです。
左側の写真の下方が、北側の埼玉方面で、写真上側が南側の東京湾方面です。

「つみとカケル」様の写真や動画に登場するアーチ型の橋は、駒形橋(こまがたばし)です。

上の写真のとおり、隅田川の河岸に沿って、首都高速道路が走っています。
とはいえ、この首都高速道路を、どんなに速いスーパーカーで追いかけても、ブルーインパルスに追いつくはずはありませんね。
どんだけ、高速~!


◇俺たちが、ついている

東京都心では、今年2020年の3月末より、都心上空を、羽田空港に離発着する民間航空機が飛行するようになりました。
深刻な騒音問題などを抱える区も少なくありません。
東京や川崎あたりでは、毎日、お昼過ぎの午後の時刻あたりから夕方過ぎまで、民間航空機の姿と音を、かなり近い距離で見るようになったのです。

とはいえ、そうした民間航空機のスピードと、ブルーインパルスのスピードは、比べものになりません。
片方は、戦闘機に近い速度で飛ぶのです。

各地で開催される「航空ショー」や、オリンピックなどの大イベントの祝賀でもなければ、このような戦闘機級のスピードを感じることなどできません。まして今回は、ブルーインパルスが、東京上空を何度か周回するのです。

私の記憶でも、「祝賀」や「ショー」、訓練などの目的以外で、ブルーインパルスが飛行するなど、まったくありません。

今回は、人々の気持ちを高揚させただけではありません。
立ちむかう勇気と、感謝するという気持ちの大切さを、私たちに、しっかりとメッセージとして伝えてくれたのです。
大の大人の医療従事者たちが、飛び跳ねるのも、わかりますね。

まさに、ブルーインパルスの言葉が聞こえてきそうです。
「俺たちが、ついている!」

ブルーインパルスに向かって、思わず、「敵であるコロナを、叩きつぶしてくれ…。医療従事者の、青い味方になってやってくれ!」と、叫んでしまいそうになりました。

* * *

「つみとカケル」様のブログの中では、ブルーインパルスが向かう先にある、隅田川上空の雲の姿を、「チンアナゴ」と表現されていました。
私は、東京湾から上陸した怪獣の「ゴジラ」にも見えました。
皆さまは、何に見えますか…。

私には、ゴジラに向かって、攻撃態勢に入るブルーインパルスの光景に見えて仕方ありません。



ゴジラは、映画では、ビキニ環礁の原子爆弾の実験で飛散した放射能を浴びて、変貌、巨大化した生物ということになっていますね。
「ゴリラ」と「クジラ」の合体生物です。

実は、「ブルーインパルス」も、原子爆弾とは無縁ではないのです。

このブルーインパルスの「青い衝撃」という名称の意味は、実は、日本に落とされた原子爆弾の、「青色の閃光」のことなのです。
原子爆弾が炸裂した時の青い閃光と、その巨大な衝撃こそ、この「ブルーインパルス」の名称の由来なのです。

* * *

「ブルーインパルス」は、もともと戦闘用の飛行機ではありません。
行事やイベントなどで、その飛行を披露するための飛行機なのです。
いってみれば、究極の技能を必要とする曲芸飛行に近いものですが、自衛隊的に言えば、「展示飛行」と呼びます。

オリンピック関連行事であれば、五機が、五輪マークの五つの輪を、スモークで描いたりしますよね。

前述の写真では、六機が、きれいな二等辺三角形になって飛行していますね。
猛烈なスピードの中で、この隊列を維持して、それも180度折り返してくるなど、パイロットたちの能力の高さには驚かされます。
その他の曲芸飛行も、写真でしか見たことがありませんが、人間業とは思えません。

戦闘機のパイロットが退役すると、よく民間航空機のパイロットに再就職したりしますよね。
テレビ番組でも、よく、民間航空機が上空でトラブルに見舞われ、絶体絶命になった時に、戦闘機の操縦経験のあるパイロットが、民間航空機を戦闘機のように手動で操縦し、危機を乗り越えるという感動的な物語が、放送されたりしますよね。

地上のバイクや自動車のような大きさならともかく、こんな巨大な、それも空中に浮いている安定しない機体を、猛スピードの中で、コントロールするとは、私には想像もできません。

ゴジラには、このくらいのことができないと、到底、対抗できないのでしょうね。
医療従事者たちが持つ特殊技能も、おそらく、これと同じなのだろうと思います。

それなのに、医療従事者自身や、その家族、子供達に、誹謗中傷、罵詈雑言(ばりぞうごん)とは…。

* * *

実は、何十年か前までは、自衛隊員の家族も、それに似た境遇だったこともありましたね。
現在はないと思います。
今はむしろ、地震や水害などの自然災害時で、正義のヒーローです。

そんな隊員たちが、今度は、厳しい境遇にさらされている医療従事者を、その家族たちを、元気づけているのです。
人間という生きものも、まだまだ捨てたものではありませんね。


◇俺は、ブルーインパルスになる!

今回のブルーインパルスのこの姿が、それぞれの人の目に、どのように見えたでしょうか…。

人間のどの言葉も、その光景には勝てないのかもしれません。

* * *

あなたの隣に、もし、息も絶え絶えの患者がいたら…、心配だらけで何ものどを通らない高齢者がいたら…、不安がいっぱいで震える子供がいたら…、疲れ果て、今にも倒れそうな医療従事者がいたら…、まずは声をかけて元気づけませんか。
何も声をかけず、何もしないで、彼らをながめていますか。
ましてや、罵詈雑言(ばりぞうごん)をあびせますか…。

私たちの暮らしは、医療従事者や介護従事者、自衛隊員など、「守ってくれる」存在があるから、彼らに任せておけばいい、というものでもないのかもしれません。
彼らは、不死身のマシーンではないのです。
心を持った、体力にも限界がある、人間なのです。

これからは、私たちひとりひとりが、「ブルーインパルス」になることが、必要なのかもしれませんね。
「助ける。守る。支える。元気づける。」…、今からでも遅くありません。

私たちも、それぞれのチカラで、大空に飛び立つ日が来たのかもしれませんね。

医療従事者の方々は、自身で選択する余地もなく、とっくに飛び立っているのです。
私たちも、彼らの後を追いかけて、覚悟と、そして勇気を…。

ブルーインパルスが与えれくれた、「勇気」と「覚悟」、「衝撃」で、日本に本物の青空が戻ることを…、いや自らの手で取り戻しましょう!

このブルーインパルスの編隊は、飛行の最後の瞬間に、白いスモークを使って、ある意味のモールスサインを地上の人々に贈りました。

その意味は…、「ありがとう」。

* * *

(追伸.1)
ブルーインパルスの飛行については、心配や不安を抱く人も少なくないと聞いています。
ブルーインパルスは戦闘機ではありませんが、まさに戦闘機にも見えてきますね。
戦闘機は、すべてのものから、その国民を防衛するという役割がありますが、逆に他国への攻撃を可能にする能力を持っています。

どの国もそうですが、その絶大なチカラは、その国の文民政治や市民のコントロール下にないと、非常に危険な使われ方もされてしまいますね。
一部の有力者によって利用されることは許されません。

今の日本で、ブルーインパルスを見て、それが他国に向けて攻撃飛行すると考える人はいないでしょう。
もしそうなら、それは恐怖の対象にしかなりません。
見物どころか、一目散に家に帰るでしょう。

多くの人が、それを、「すべてのものから守ってくれる。勇気を与えてくれている。」ととらえ、期待のまなざしで大空を見上げるのは、たしかに日本の平和の証しにも感じます。
いずれにしても、多くの日本人が、今何か、大きな「希望」を欲しているのは確かだと感じます。

一方、たくさんの数の本物の戦闘機が、戦闘態勢でスクランブル緊急発進しているのも現実です。
そのことも頭の片隅に置きつつ、希望の対象としてブルーインパルスを感じたいと思います。
ブルーインパルスは、戦いの象徴ではなく、永遠に、私たちの「正義の味方」、「希望の星」であってほしいものです。

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ここで、興味深い、素晴らしい内容のブログを、ご紹介させていただきます。
アメーバブログの中の、岡野様のブログです。
多くの方の、新しい「気づき」につながるかもしれません。
皆さま、どうぞご覧ください。
このたびは、岡野様の御厚情に、深く感謝申し上げます。

岡野様のブログ

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(追伸.2)
重ねて、「つみとカケル」様の御厚情に感謝いたします。
あなた様の写真により、今回のコラムを書く意欲がわきました。ありがとうございました。
ブログの中で書かれておられた、あなた様が見つけた「Vサインの雲」…、これは決して偶然ではないと思っています。

* * *

*次回のコラムで、その日に、多くの方々が、どのような発言やつぶやきを行ったかについて、ご紹介いたします。

コラム「青い衝撃の日」につづく


2020.6.3 天乃みそ汁
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